久々野 こころ

■人間観察に学ぶ恋愛イロハ■「異性として見ていない」と言わずとも

ある日、店で「異性として見ていない」という一言でその場が凍りつく場面に遭遇した。そのままの意味だったのだろうが、もっと他に言い方があるような気がした。それに、その言葉をチョイスするにはふさわしくないシチュエーションだったようにも思う。

 

■人間観察14:その場を凍りつかせた「異性として見ていない」

彼氏いない歴772日と11時間09分……。いつものように一人で飲みに出かけた際に男女グループの飲み会に遭遇した。大きな声で会話をしていたそのグループの話の内容は、誰とも話をせずただぼんやりと過ごしている私には筒抜けだった。

どうやら会話の内容から察するにそのグループは「カップルが数組そしてそれぞれの友人数名」で構成されているようだった。やたらとそれぞれのカップルについての恋愛模様や普段の交際ぶりについての話題に花を咲かせていたからだ。数組のカップルとそれぞれの友人は、きっといつも仲良くしているグループの構成員なのだろう。

そのグループは酒が進むたびにボリュームが大きくなっていった。「注文したものを全て味わったらさっさと店を出ようか」と思っていた矢先だっただろうか、そのグループ内の彼氏持ちの女性に対して、もう一人の女性が「でも異性として見ていないし友人の一人だから」という旨を言い放っていた。その場の空気が一気に凍りついた。

「異性として見ていない」という内容を発した女性は、そのグループが盛り上がるに連れて彼女持ちの男性にやたらとボディタッチをして馴れ馴れしく積極的だった。赤の他人である私からも見て取れたほどだ、「そのボディタッチを受けている男性が彼氏である女性にとってみれば良い気分では無いだろうな」と思っていた矢先の出来事だった。

 

□様々な用例がある「異性として見ていない」だが……

あの日出会ったグループ内で発せられた「異性として見ていない」という台詞は、世間一般的に多く用いられているような気がする。異性の友人だと思っていた人から告白をされ、それを断るときには「異性として見ていないから、恋人とかそういうのはちょっと……」と用いるだろう。それに、付き合っている恋人が自分以外の異性と仲良くしていることについて問い詰めると「あの人は異性として見ていないし、友人の1人だから」と言い訳をするときにも使うはずだ。

あのシチュエーションで「異性として見ていない」と発言した女性にしてみれば、「確かに酔った勢いでボディタッチをしたけれども、決してあなたの彼氏を横取りするつもりはないから安心してくれ」という意味で言ったのだろう。しかし、「異性として見ていない」と言われた女性つまり異性からのボディタッチを散々受けている男性が彼氏である人にしてみれば、彼氏はただ一人の特別な存在だ。その特別な存在に対して「異性として見ていない」と言われるのは決して良い気分では無いのではないか。「異性として見ていない」という文句は、その当人を恋人として異性として接しているその本人に伝えるには失礼すぎやしないか。もっと他に言い方があるのではないか。

確かに「異性として見ていない」発言をした女性にしてみれば、ボディタッチを積極的に行った相手は数多くいる友人の一人、男友達の1人だろう。しかしだからといって、その人の大切な恋人がいる前で、酒の勢いにかこつけてベタベタとボディタッチをするのはいかがなものか。「異性の友人からの多少のちょっかいは許す」と考えている彼女であれば、決して問題はない。交際している当事者同士が良ければ何の問題は無いのだから。

 

□異性として見ていない人も誰かの大切な存在なのだから

しかし、あの日「異性として見ていない」と言われた彼女は、自分の彼氏にボディタッチをされていることを露骨に嫌がっていたように思う。だからこそ、その嫌がっている様子を察知した女性が「異性として見ていない」発言をしたのだろうし、その発言を受けて「異性として見ていないとは言え、そんなふうにボディタッチをされては不快だ」と顔に書いてあった彼女は険悪ムードを漂わせる結末を迎えていた。

たまたまその日そのときに事の顛末を聞いていた私だったが、「異性として見ていないならなおさらその人だけに積極的にボディタッチをするのではなく、友人の1人として接するべきではないか?」という感想しか浮かばなかった。私にはそんなふうに積極的にボディタッチをする異性の友人がいないことも関係している。それに、恋人が目の前にいる場面で、その交際相手にあたる人物にちょっかいを出そうとは到底思えないからだ。

散々ボディタッチを受けていた男性は、別の女性にとっての恋人であり特別な存在だ。その大切な存在である人に不安を抱かせたり不快な思いをさせたりするような行動をわざわざする必要性はどこにもない。いや、あの日の女性のように「恋人が目の前にいようがいまいがお構いなし」の人は私のようには考えないのだろう。

私とあの女性はきっとどこまでも考えが合わずに分かり合えない、私はあの女性をどこまでも失礼なように感じられるからだ。それにしても、あのような女性にも異性の友人がたくさんいて、出会いのチャンスも広がっているのだと考えると……私はどこまで救われない状況にあるのだろうかと思わずにはいられない。




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