久々野 こころ

■人間観察に学ぶ恋愛イロハ■人間観察による恋愛への思わぬ副作用

人間観察から恋愛についてのメソッドを学ぼうとした。しかし、その人間観察が癖になった今、恋愛を十分に楽しめなくなっているような気がしないでもない。そう思わせられたカップルと遭遇した。

 

■人間観察4:ドラマのワンシーンさながらのカップル

彼氏いない歴702日と19時間17分……。街中で遭遇した1組のカップルにいろいろと思わせられた。その男女は通りすがりの私でさえ「絶対にカップルだ」と分かるほど、濃厚な雰囲気を振りまいていた。私以外にも大勢道行く人がいるのにも関わらず、ドラマのワンシーンさながらのキスを交わしていた。

男「また会いに来るよ」
女「うん、待ってる」
男「またね、元気で」
女「そっちこそ元気でね、また連絡するね」

名残惜しそうにキスをしたり手を繋いだり言葉を交わしたり……場所が駅前だったから、あのカップルは「遠距離恋愛中の恋人同士で、久しぶりに会いに来た彼氏が電車か何かで帰る、その別れ際の場面」を繰り広げていたのかもしれないと想像した。遠距離恋愛だとするとしばらくは会えないだろう。だからこそ、あの濃密な空間を自分たちで作り出していたのだと感じられた。

 

□ドラマのような別れ際を繰り広げられるほどの愛

ドラマさながらの雰囲気でキスをし、電車か何かの発車時刻まで少しでも「しばらく会えない恋人の体温や感触」を確かめて体に刻もうとしていたのかもしれない。私を含めた大勢の人間は眼中に無いかのように、彼と彼女は完全に自分たちの世界に入り込んでいた。それほど彼と彼女は互いに愛し合っていて、遠距離恋愛でしばらく会えない事実が辛く、その時の一瞬を大切にしていたようにも感じられた。

あのカップルたちの何もかもが素敵だった。距離や時間の問題でなかなか会うことができない遠距離恋愛には、不安や心配それに会えないことの寂しさ様々な感情に悩まされるはずだ。あのカップルたちも出会いや交際を開始した当初は、遠距離恋愛ではなかったのかもしれない。お互いの環境の変化からやむを得ず遠距離恋愛を強いられ、現在に至る……当然私には遠距離恋愛の経験が無いため、これはあくまでも勝手な想像だが。

遠距離恋愛は互いに深く愛し・信頼し合えている関係が無ければ続かないように思える。自分たちの世界に没入できるほど愛し合えていた彼と彼女なら、立ちはだかる距離の要素は問題にならないのかもしれない。あのカップルたちが自分たちの世界に入り込めるほどに愛し合っていたこと、そして周りを気にせずに愛している相手だけを見られていたことが私には羨ましかったのだ。

 

□人間観察を始めた頃には気にもしなかったデメリッ

私はいつからか人間観察が癖になっており、半ば趣味になっていると言っても過言ではない。人間観察を始めた動機は「恋愛ベタなのをどうにかしたい。でも、いろんなメソッドを読んだり見たりしてもわからないから、道行く人たちから何らかのヒントを得よう。私が過ごす平々凡々な毎日でも、いつかのどこかでは誰かの出会いや恋愛の始まり・終わりなのかもしれないのだし」という具合だった。

ただ単にその場に居合わせた・遭遇しただけの全く知らない人たちから学べることは多い。だが、私自身が人間観察を始めた・癖になったことで、かえって「私自身も誰かに注目されているのではないか」と思うようになってしまった。

私などの人間に誰も興味を持たない、私という人間に見ず知らずの他人が関心を寄せるわけなどないとは分かっている。しかし、人間観察として他人を見ている私のことは私自身が知っているがために、周りからの視線を気にするようになってしまった。ひょっとすると私と同様に人間観察が癖になっている人間がそばにいて、一人でいる私のことを哀れんでいるのかもしれない、と。

 

□あのカップルが私に気付かせた様々な感情

自分たちの世界に入り込み、ドラマチックに別れの言葉を交わしていたあのカップルは、私の存在はおろか周りの世界に目もくれていなかった。対して、私は自身の行いが他人にどう映ってどう思われるのかを気にしてばかりで、屋外でしかも大勢の人がいる場で恋人と親密にすることなど到底不可能だ。人間観察が趣味という私のような人間は少なく、実際はそこまで他人に何かを思われることなんてほとんど無いのだろう。しかし、人間観察から恋愛を学ぼうとした私は、その人間観察から余計に世間体や周りの目を気にするようになったのかもしれない。

周りを気にしてばかりの性格が、さらにあのカップルたちへの羨望を高めたのだろう。それに、あのカップルと遭遇したことで「仮に出会いや相手に恵まれたとして、その相手に夢中になることができるのか」という不安、「人の目を気にするあまり、相手に夢中になれないのは勿体無いような……」や「相手への愛情が周囲の目よりも勝らないのか」という取らぬ狸の皮算用のような思いも芽生えた。人間観察が癖になった私は、果たして相手と私との自分たちだけの世界を満喫できるのだろうか。




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